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一庫大路次川の空中をゆったり泳ぐ「アユのぼり」

■アユのぼり掲揚式
梅雨入りを間近に控えた、令和6年6月16日、関係者や地域の住民の方が見守る中、一庫ダム上流の一庫大路次川の渓谷の空中に、今年で3回目となる「アユのぼり」を架ける掲揚式が行われ、アユが元気に育つよう、またダム湖や川を利用される方々の安全を祈念しました。
この「アユのぼり」は、アユ漁の期間中の9月30日まで、空中をゆったりと泳いでいますので、ぜひご覧になってください。

■一庫大路次川と一庫ダム
一庫大路次川は、猪名川の支流で、大阪府能勢町を源流に、兵庫県猪名川町と川西市を流下し、猪名川に合流しています。
また、一庫大路次川には、「一庫ダム(知明湖)」があり、周辺地域(兵庫県尼崎市・西宮市・神戸市・伊丹市・宝塚市・川西市・猪名川町、大阪府池田市、豊能町)に飲用水を供給するともに、各種用水の安定化と流水の正常な機能の維持の役割を担っています。

■アユの生活史
ところで、皆様はアユの生態をご存じでしょうか。
アユは、サケ類と同様に河川と海域を回遊する性質を持っており、晩秋に下流域近くで孵化した仔魚は海へ降下したのち浅瀬でプランクトンを餌として育ち、初夏になると川を遡上し、川底の石に付着した珪藻を食べながら大きくなります。
この時に、縄張りを持つようになり、「友釣り」はその習性を利用した漁獲方法です。
秋にかけて成長した後、下流域まで降り、そこでの産卵と受精をもって一生を終え、その後孵化した仔魚が海へ降り、新たな生命を紡いでいきます。

■湖産アユ
琵琶湖にいるアユは、生命史の中で、海ではなく琵琶湖が海の役割を果すようになり、琵琶湖周辺の河川を遡上、降下しており、「湖産アユ」と呼ばれています。その琵琶湖と同じ役割を果たしているところが、「一庫ダム(知明湖)」です。
今や、一庫大路次川で孵化した仔魚は「一庫ダム(知明湖)」へと降り、豊富な餌を食べて育った後、初夏6月には育った稚アユが、どんどん遡上するようになっています。
湖へと流入する場所は、落差がある急流となっていますが、元気な稚アユは果敢に跳ねながら、上流へ、上流へと群れとなって遡上する様子が見られます。やや穏やな浅瀬域に到達すると、自らの縄張りをつくり、各々が定着していくのです。
アユの背側は濃い緑色になっているのですが、「こけ」と呼ばれる付着珪藻を食べる際、身体を捻るため、一瞬銀色にキラッと光る様子を見ることができます。
空を見上げて「アユのぼり」、水面を眺めて「光るアユ」。自然豊かな、一庫大路次川をお楽しみください。

■アユのぼり掲揚式
・主 催 者:猪名川漁業協同組合、独立行政法人 水資源機構 一庫ダム管理所
・関連サイト:独立行政法人 水資源機構 一庫ダム管理所

アユのぼり
アユが泳ぐ一庫大路次川です。このような浅瀬に縄張りをつくり、石の表面に付着している珪藻を食べています。
アユのぼり